2020年Amazon経営学部門において、第1位獲得のベストセラーを達成しました!(2020.10.19現在)
中田敦彦さんがYOUTUBEで紹介していて、興味を持ったFACT FULNESS(ファクトフルネス)という本。
読み進めていくと非常に面白くてあっという間に読破してしまいました。
そしてこの本を読んだ結果、頭の中にかかった霧のようにもやもやしたものが、晴れてすっきりとする感覚を覚えました。
この本を読んで欲しい人
FACTFULNESSは、有益な情報から価値のない情報まで、情報が溢れかえった現代社会を生き抜くために必要な本です。
・自分はテレビの話題になっている情報についていけていないのではないか。
・今の自分の置かれた状況に不安や絶望しか抱けない。
・未来や将来に対して希望を抱けない。
・自分は何のために生きるのか悩んでいる。
・自分は周りと比べて賢い方だと思っている。
・政府などに対して抗議活動をすることが正義だと思っている。
そんな人達にこそ読んでいただきたい本です。
個人的には最近投資を始めた初心者(私含む)や騙されやすい人にも、様々な悩み・不安に対する考え方の参考になるので、非常にお勧めです。
FACTFULNESSの著者
この本を書いたのはハンス・ロスリングさんと言う方で、医師であり、公衆衛生の専門家であり、アメリカで人気のプレゼン番組TEDトークでも人気のスピーカーです。TEDについては、会社の会議や商談などで必要なプレゼンのスキルを学ぶいい教材にもなりますので、ぜひ見てみてください。英語が分からなくても世界に通じる一流のプレゼンがどういうものかが分かるので、非常に勉強になります。
そもそもファクトフルネスって何のこと
本のタイトルにもなっているFACTFULNESSですが、ハンスさんの造語になります。
本の副題が「10の思い込みを乗り越え、データを元に世界を正しく見る習慣」となっています。
10の思い込みというのは、世界を正しく見る習慣を阻害する10の本能のことを指します。ファクトフルネスは、その後にある「データを基に」つまり事実(ファクト)を基に世界を正しく見る習慣のことを意味しています。
簡単にいうと、あなたの中にある10の本能に気をつければ、世界を正しくみられますよということです。
世界を正しく見られなくしてしまう10の本能
では、10の本能とは一体なんなのか。これを説明する前に、まずは本能とは何か確認します。
【本能】①生まれつき持っている性質や能力。②動物のそれぞれの種に固有の生得的行動。
大辞林より
私たちも人間といえど動物であることに変わりはありません。動物が餌を求めて大移動したり、親が子供を守るために攻撃的になる、なども本能によるものです。
今回は本を読みやすくするために、本能とは頭で考えるより先に体が動いてしまうこと、動きたくなってしまう衝動、という意味で解釈しています。
では本題に入ります。
本能は本来、人が生きていく上で必要な能力のはずでした。大昔、人が狩猟をしていた時代を想像してください。
・あなたの目の前にライオンが出てきたら?
・食糧危機が発生したら?
・スマホやテレビのない時代、情報源は人々の噂話しかないとしたら?
どれも考えるまでもなく、行動に移さなければ他の動物との生存競争に負けてしまうことでしょう。
・ライオンが出たら、まずは身を隠すか、全力で逃げる。
・食糧危機が起きていたら、食料を探してすぐに食べる。
・人々の噂話に耳を傾け、誰よりも早く情報を得る。
これらの能力が必要でした。この能力が本能です。
しかし、よく考えてみてください。ライオンが目の前に現れる状況、食糧危機に陥る状況があるでしょうか?
甘いものが食べたくなってその本能のまま、食べ続けていたら・・・。
情報源に至っては・・・メディアや噂好きの人が話す噂話でなくとも、スマホ、図書館、専門家、様々な情報源があり、誰も簡単に調べることができます。
大昔を生きていく上で必要な能力だった本能は、今の世の中ではほとんど必要ありません。
ライオンに限らず危機的な状況は、交通事故や災害などに置き換えれば絶対に起こらないとはいえませんが、あなたの生きてきた人生の中で危機的状況が何回あったのか考えれば、決して頻度は多くないことが分かると思います。
本能の意味がわかったところで、10の本能について簡単に説明します。この思い込みに当てはまっている人がいたら、ぜひこの本をご覧になり、ハンス氏が示す膨大なデータに基づいて世界を正しく捉えられると、自分の思い込みの正体が見えてきます。
投資初心者や騙されやすい人が特に気を付けるべき本能は赤字で表記していますので、参考までに。
分断本能
世界は私たちのように普通に不自由なく暮らすことができる先進国と、貧困に喘ぎ1日を生きるのが精一杯の発展途上国に分断されているという思い込み。所得によってレベル1〜4までに分類することができる。詳しくは、ドルストリートを参照。百聞は一見に如かず、まずは覗いてみましょう。
サイトを見ると向かって左からレベル1右に行くほどレベルが上がり一番右がレベル4となっている。(左上のボックスで、カテゴリーを選べる。家族、ペット、バイク、船など。)実際には、極貧層は時の経過とともにどんどん改善されて中間層の人が増えている。つまり世界は良くなっていて、多くの国の人々が中間層に重なり合っている。単純に先進国と途上国という括りで分断することはもはや正しくない。
ネガティブ本能
世界はどんどん悪くなっているという思い込み。悪いニュースの方が人々の関心、興味を引きやすいということに気づくとマスメディアの情報が、必ずしも全てではないと気づくことができる。悪いのは現在の状態であり、よくなっているのは変化の方向。これら2つは両立することをデータから読み取ろう。過去の思い出を美化せずにちゃんと考える。「昔はよかった。」・・・本当に、今と比べて昔は良かったのですか?
直線本能
例えば世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み。右肩上がりのグラフを見ると、人はそのまま直線的に上がっていくものだと思い込む。株価、人口、二酸化炭素の量など、メディアや営業マンが示す、直線的なグラフに注意する。直線的なグラフはむしろレアであり、今後どうなるかは誰にも分からない。
恐怖本能
危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み。恐怖と危険は違う。恐怖本能が人々の判断力を鈍らせる。あなたを騙そうとする人は、この恐怖本能を巧みに引き出し、不安にさせて商品や商材を売りつける。パニックになってしまったら、そのパニックが収まるまで、大事な決断をするのは避けよう。
過大視本能
目の前の数字が一番重要だという思い込み。メディアや慈善団体は、常日頃から何かで苦しんでいる人を紹介している。そして、自分達の主張を強調するために、途方もなく大きく見える数字をそれぞれの事例に添えようとする。これを解く鍵は、比較と割り算。他の数字と比較して、できるなら割り算で割合を見ることが大事。
パターン化本能
一つの例が全てに当てはまるという思い込み。分類自体が正しいかどうかを問いただす。自分が普通で、自分以外はアホだと決めつけないようにする。
宿命本能
全てはあらかじめ決まっているという思い込み。いろいろなもの(人も、国も、宗教も、文化も)が変わらないように見えるのは、変化がゆっくりと少しずつ起きているから。
単純化本能
世界は一つの切り口で理解できると言う思い込み。一つの視点だけでは世界を理解できない。シンプルな考えがパッと閃くと興奮するし嬉しいけど、全ての問題が一つのやり方で解決できると思わず、自分と違う人の意見を聞いて、自分の考えの弱点を知ることが大事。
犯人探し本能
誰かを責めれば物事は解決すると言う思い込み。誰かが見せしめとばかりに責められていると他の原因に目が向かなくなり、将来同じ間違いを防ぐことができなくなる。犯人ではなく、なぜそうなったのか、その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解することに力を注ぐべき。同じように、英雄を探さない。英雄のおかげで状況が改善したのではなく、システムや状況が出来ていたから、周りの名もなき人のサポートがあったから、改善したと思うようにする。自分の都合のいいように、英雄や犯人を探さない。人のせいにしても何も解決しない。
焦り本能
今すぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み。特に気をつけるべき本能。
このチャンスを逃すと次はない!今日から考え方を変えよう!今すぐ行動しよう!
今やらないともう次はない、と思わせることが焦り本能を引き出すコツで、販売員や活動家が使う手口でもある。今すぐ決めろと言われると、判断力が鈍って間違った決断をしてしまう。大事なのは、今じゃなきゃダメなんてことはないし、チャンスは1度きりじゃない。かと言っていつまでも行動しなくなっては意味がない。
この本能によって、隅々まで考え抜く前に、過激な一手を打ちたくなっていませんか?
有り金全部投資する、リスクを大幅に取る、レバレッジをかけまくる・・・。
大きな決断をするときこそ、焦らず慎重に。できるなら一日おいて考える。
まとめ
ご紹介した10の本能を抑えることは、簡単なことではありません。
わかったつもりになっていても、気がつけば自分がパニックになっていたり、誰かのせいにして怒りの感情をぶつけたくなります。かくいう私自身もそうです。
しょうがないです。だって本能ですから。
とはいえ、少し冷静に自分を見つめ直せば、あ、今は本能に支配されているな、ということが分かるようになります。分からなくなったら、まずは深呼吸。落ち着いて時間をおいて考えてみることが重要です。
私も騙されないために、必死に知識を身につけているところですが、この本は本当におすすめの一冊です。
この本を読んで、自分の考え方を変える。それだけで世界が違って見えてくることを実感できました。
今回の紹介はほんの一部でしたが、興味があればぜひ手に取ってみて自分で読んで考えてみてください。
たった一人でも不安だらけの世の中だと思い込んで絶望している人に、不安を解消できるヒントがこの本で見つかることを願います。
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